MRIとCTにはそれぞれ得意分野があります

 MRIという検査機器のことをご存じですか? 最近は人間の精密検査によく使われているので、その名前を耳にしたり、実際に検査にかかったりしたことがある方も、多いと思います。MRIは、磁気を使い身体の断面図を撮影する機械です。もうひとつ、よく使われる検査機器にCTというのもあります。こちらは一般的にX線をいろいろな角度からあてて、身体の断面図や立体図を作成する機械です。この二つの機械にはそれぞれ長所短所があり、例えばCTなら肺や骨、肝臓や腎臓、また出血性の病状の検査能力により適しており、MRIは脳や脊髄、関節などに適しているといったように、患部や病状によってこの2つを使い分けると、非常に精度の高い検査結果を得ることが出来るのです。

「どこまで」「どのくらいで」治るかはいつ病気に気づくかにかかっています

 それではこうした検査機器があると、治療の上で、どれだけ良いのかをお話ししていきましょう。動物でも人間でも同じことですが、病気や怪我は早期発見、早期治療がとても大切です。症状が軽いうちに治療を始めれば、完治する可能性も高く、また治療にかかる時間も短くて済みます。そのためには精度の高い検査を行える、CTとMRIの両方があるのが、非常に良いことだということは、すぐにおわかりいただけるでしょう。

 例えばミニチュアダックスフントは、若年から椎間板ヘルニアを発症しやすい骨格をしています。人間もかかる病気ですが、これは動く度に激痛が走ったり、麻痺でフラフラしたりと、とてもつらい病気です。犬の場合、四肢の麻痺により生涯歩けなくなってしまうこともあります。これは発症から手術までの時間が勝負。発症から48時間以内に手術をすれば、また歩けるようになる可能性が非常に高いので、精度の高い検査から手術までを一貫して行えるクリニックを受診することが、治療の成果を左右すると言っても過言ではありません。ちなみに当クリニックでは、診断から手術までをスピーディーに行ない、治癒率を高めています。

患部の正確な把握が手術の負担を軽くします

 今、お話しした椎間板ヘルニアと似た症状を示す他の脊髄疾患もあります。CTのみの診断では、例えば脊髄梗塞などの病変はわからず、見逃してしまうこともあります。また脳疾患はCTでは発見出来ないことも多く、MRIは脳炎や脳腫瘍の診断には、なくてはならないものとなっています。

 MRIは造影剤という薬を投与しなくても、鮮明な写真が撮れることが多く、患部を正確に把握することが出来るのです。患部が正確に把握されていれば、手術の範囲もなるべく小さくすることが出来るので、手術時間の短縮にもつながり、大切なペットの身体への負担も軽減されます。広範囲の手術による身体への負担を、なるべく少なくすることは、ペットの命を守ると同時に、回復のための体力温存にも、非常に重要な問題です。こうした観点からも、患部や症状に応じた検査機器を使うことが、とても大切だと言うことが、おわかりいただけたかと思います。